Wi-Fiルーターの(二重)ルーターモードとアクセスポイントモードの速度の違い

バッファローのWi-Fi 6 対応ルーター WSR-3200AX4Sでアクセスポイントモードが安定する設定が出来たため、ルーターモードとアクセスポイントモードのパフォーマンスの違いを計測してみました。

以前にも二重ルーターで速度が落ちるのか検証しましたが、その時は子機がアクセスするのは別のWi-Fiルーター(TP-LINK Archer AX-20)でした。

今回は子機は直接WSR-3200AX4Sにアクセスし、WSR-3200AX4Sをルーターモードとアクセスポイントモードに切り替えて計測します。ルーターモードはいわゆる「二重ルーター」状態です。

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構成

フレッツ光(1Gbps)の光回線 ⇔ ホームゲートウェイ(HGW) ⇔ 宅内LAN の構成です。

宅内機器構成概略図

Wi-Fiルーターはしばらくは2Fクローゼットに設置してルーターモードで使用していましたが、先日LANケーブルを追加で配線したダイニングに設置したことから、アクセスポイントモードに戻しました。

ルーターをダイニングに置くとDLNA機器を配下に配置出来ない、DLNAも使いたいがサービスがルーター超え出来ない、ということで同じネットワークセグメントとするためにアクセスポイントモードに戻したのでした。ルーターと同様にアクセスポイントモードも安定する設定も分かりました。

以下では、HGW直結、Wi-Fiルーターをルーターモードとアクセスポイントモードでそれぞれ計測しています。インターネットの回線の速度とともに、自宅内のデスクトップPC(有線1GbE)をiperfのサーバーとして宅内回線の速度も計測しました。

HGW直結時の速度

まずは、回線の実力を測っておきます。ノートPCをLANケーブルでHGWのLAN側ポートに直接接続して計測します。

ホームゲートウェイ直結の計測結果
HGWにLANケーブルで直接接続したときの計測結果
計測項目計測結果
IPv4 Ping7.8ms
IPv4 下り843.32Mbps
IPv4 上り461.98Mbps
IPv6 Ping6.6ms
IPv6 下り822.37Mbps
IPv6 上り535.96Mbps
HGW直結時の計測結果

下りはIPv4もIPv6の800Mbps超と1Gbpsの回線としては十分な速度です。iperfでは949Mbpsで、ほぼ1GbEの上限の速度が出ています。

Wi-Fiルーター(バッファロー WSR-3200AX4S)経由の速度

HGW配下のWi-Fiルーター(バッファロー WSR-3200AX4S)を経由した速度を計測します。子機側はThinkPad E490で、無線LANはWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)です。ルーターとPC間は遮蔽物はなく、距離1.2mで計測しました。

ルーターモード

ルーターモードはいわゆる「二重ルーター」の状態です。ホームゲートウェイがルーター機能を持っており、ひかり電話やフレッツ・テレビを使用しているため撤去はできません。よって、Wi-Fiルーターをルーターモードで使用するといわゆる「二重ルーター」の状態になります。

なお、Wi-FiルーターのNAT(アドレス変換機能)はオンのままです。よって、上位ルーターにあたるHGWでの静的ルーティング設定も不要な状態です。

ネット上の記事ではいわゆる「二重ルーター」は速度が落ちるなどと言われていますが、本当でしょうか?

有線LAN接続時

まずはルーターモードで有線接続です。ノートPCをWSR-3200AX4SのLAN側ポートに接続して計測します。

ルーターモード(有線)の計測結果
ルーターモードの有線LAN接続時の速度計測結果。右のtracertの結果から、ルーターが2台であることが分かります。
計測項目計測結果
IPv4 Ping8.2ms
IPv4 下り835.18Mbps
IPv4 上り443.94Mbps
IPv6 Ping6.2ms
IPv6 下り851.91Mbps
IPv6 上り519.04Mbps
ルーターモードの有線LAN接続時の速度計測結果

いわゆる「二重ルーター」状態なのですが、HGW直結時と比べてもぜんぜん速度落ちていません。iperfも946MbpsとHGW直結時と変わりません。

無線LAN接続時

次にルーターモードで無線接続です。

ルーターモード(無線)の計測結果
ルーターモードの無線LAN接続時の速度計測結果。こちらもtracertの結果からルーターが2台。
計測項目計測結果
IPv4 Ping9.0ms
IPv4 下り654.82Mbps
IPv4 上り398.32Mbps
IPv6 Ping8.1ms
IPv6 下り663.22Mbps
IPv6 上り422.13Mbps
ルーターモードの無線LAN接続時の速度計測結果

有線に比べるとどうしても速度は低下しますが、それでもWi-Fi 5接続で600Mbps超なのでまずまずでしょうか。

アクセスポイント(ブリッジ)モード

物理的な位置はそのまま、アクセスポイントモードでの計測です。

有線LAN接続時

まずは有線接続。

アクセスポイントモード(有線)の計測結果
アクセスポイントモードの有線LAN接続時の速度計測結果。tracertの結果からルーターは1台であることが分かります。
計測項目計測結果
IPv4 Ping8.1ms
IPv4 下り827.94Mbps
IPv4 上り490.97Mbps
IPv6 Ping6.9ms
IPv6 下り808.83Mbps
IPv6 上り543.88Mbps
アクセスポイントモードの有線LAN接続時の速度計測結果

アクセスポイントモードでも有線接続だと下りは800Mbps超です。iperfも同様にほぼ上限値で推移しています。

無線LAN接続時

アクセスポイントモード(無線)の計測結果
アクセスポイントモードの無線LAN接続時の速度計測結果。こちらもtracertの結果からルーターが1台。
計測項目計測結果
IPv4 Ping10.5ms
IPv4 下り663.08Mbps
IPv4 上り396.96Mbps
IPv6 Ping8.8ms
IPv6 下り663.10Mbps
IPv6 上り416.09Mbps
アクセスポイントモードの無線LAN接続時の速度計測結果

ルーターモードと同じような結果です。

計測結果

計測結果を表にまとめました。

有線接続については差は誤差の範囲といえるもので、目立った差はありません。いわゆる「二重ルーター」になっているルーターモードが遅いということはありませんでした。

項目HGW直結ルーターモード
(二重ルーター状態)
アクセスポイントモード
IPv4 Ping7.8ms8.2ms8.1ms
IPv4 下り843.32Mbps835.18Mbps827.94Mbps
IPv4 上り461.98Mbps443.94Mbps490.97Mbps
IPv6 Ping6.6ms6.2ms6.9ms
IPv6 下り822.37Mbps851.91Mbps808.83Mbps
IPv6 上り535.96Mbps519.04Mbps543.88Mbps
有線接続計測結果。青色のマーカーが結果が良い方。

無線接続時も目立った差はありません。有線時と同様にルーターモードが遅いということはありませんでした。

項目ルーターモード
(二重ルーター状態)
アクセスポイントモード
IPv4 Ping9.0ms10.5ms
IPv4 下り654.82Mbps663.08Mbps
IPv4 上り398.32Mbps396.96Mbps
IPv6 Ping8.1ms8.8ms
IPv6 下り663.22Mbps663.10Mbps
IPv6 上り422.13Mbps416.09Mbps
無線接続計測結果。青色のマーカーが結果が良い方。

まとめ

HGW直結、(二重)ルーターモード、アクセスポイントモードとも、有線と無線のそれぞれで目立った差はありませんでした。

「二重ルーター」でNATが2段階になっていようと、速度の落ち込みはありませんでした。家庭用の機器でも1GbE環境では十分な処理速度を持っているということですね。

どうにも速度が出ない場合は、設定の何かが誤っているか、単純に機器や機器を接続するケーブルが古すぎるかのいずれかと思われます。

ルーターモードならルーターの機能をすべて使えるので(アクセスポイントモードはオフになる機能がある)、NAT/ルーターを超えられないサービスに気を付ければ、ルーターモードで使用するのもありかと思います。

静的ルーティングの設定例は以下の記事を参照ください。

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