SSDの必要性とボトルネックを見極める

6年超えの低価格デスクトップPCを延命して使っていますが、日ごろ扱うフルサイズデジタル一眼(EOS 6D)のRAWデータは1ファイルあたり約24MBあります。主な処理とそれぞれについて快適性に影響を与える箇所を挙げてみると…。

1. PCへの取込み
 →インターフェース速度(USB)とディスク書き込み速度

2. プレビューや編集
 →ディスク読み込み速度と処理速度(CPUやGPU)

3. jpgで書出し
 →処理速度(CPU)とディスク書き込み速度

いずれの処理もディスクの読み書きが発生しています。HDDをSSDに変えると速くなるのでしょうか?

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結論

いきなり結論を先に記すと、1以外はSSD化の効果がなさそうです。既にして検証された記事がありました。
5,000万画素超時代を見据えたLightroom向けPCを作る Impress連動企画(前編)

この記事では主に2を検証して費用対効果は限定的との結論。ついでに言うと、編集時はオンメモリでディスクの影響がなくなるし、3のjpg書き出しはハイエンドCPUでも数秒かかる処理なのでディスクがボトルネックにならない。変換処理中に前の画像の書き込みは終わってしまうからで、CPUが遅いなら尚更に…。

ということで、SSDは静止画処理においては費用対効果が低いようです。

余談ですが、GPUは画面描画の支援をするものです。編集時はアプリがサポートしていれば表示が速くなり効果ありですが、RAWからjpgに書き出すという変換処理はCPUがやるので、ゴツいグラフィックボードを入れても効果はありません。

私はゲームは全くやらないのと、PCの停止はスリープで運用しているので、これまたSSDの恩恵が薄い。その分のコストはカメラのアクセサリーやレンズに向けたいところです。

インターフェース

先に「1以外はSSD化の効果がなさそう」と述べましたが、まずもって私のPCのUSBは2.0。カードリーダーにSDカードを刺して計測すると20MB/sも出ていない。このカードの公称値は90MB/sなので、全然届いていない…。

そこで、新品でも1,600円程度のUSB3.0のカードを増設しました。カードリーダーもUSB3.0対応製品に。結果、約4倍の読み込み速度。おおむね公称値通りのスピードが出ています。

ところが、Windowsのエクスプローラーで転送速度を見ていると、バッファーに書き込んでいるときは確かに80MB/s前後だけど、フラッシュ(HDDに書き込み)がはじまると5MB/sくらいに落ちてしまう。それが終わるとまた速度が上がるというのを繰り返します。SDカードの転送速度にHDDが追いついていないようです。それでも全体では随分速くなりましたけど。

そもそも取り込むデータが数GBとなるとバッファーに使えるメモリ容量を超えてしまうので効果は体感出来ない。とすると、書き込みが高速なSSDなら効果が出そう。

一方で、マルチタスクOSなら取り込み指示をした後は別のことが出来るので、画像編集アプリケーションを立ち上げて取り込みの終わったファイルから順次確認していける。

SSDで高速化の効果はありそうですが、私の運用ではお金を掛けた分のメリットが少なさそうです。

メモリの考察

EOS 6Dの記録画素数は6240×4160=25,958,400。
PC上では階調8bitとするとRGB各色で8×3=24bit=3バイト。
データ量は25,958,400画素x3バイト≒78MB。
となって、RAWデータ1ファイルを読み込むと78MBのメモリを使います。先の引用記事の「5,000万画素超時代」だと1ファイルあたり160MB程度か。

10ファイル同時に開いたとしても1GB未満だし、人間は一度に一枚しか編集出来ない。これに現像アプリケーション本体やライブラリ、編集データや一覧のサムネイルに変換処理のバックグラウンド実行なども考慮して1.5GBもあればいいかな?

現像アプリケーションはカメラ付属の「Digital Photo Professional 4」です。メモリ開放を逐次行ってキレイに動作しているようなので、操作するほどにメモリを圧迫していくなんてことはありません。

OSが2GB程度、ブラウザやその他アプリケーションが1GB程度とざっくり見積もると合計4.5GB程度。8GBあればまだ3GB以上の余裕があるので、8GB積めばまず大丈夫でしょう。

ボトルネック

こうなると、RAWデータの扱いにおいてはCPUがボトルネックとなりそう。第一世代のCore i5なので、最近のシリーズに比べたらかなり遅いと思われます。RAWデータを編集してjpgに書き出すとき、出力サイズによっては1ファイルあたり30秒もかかることがあります。

けど、ここでも運用が要です。

RAWデータ編集とjpg変換処理は別プロセスなので、バックグラウンドで変換しつつフォアグラウンドでは編集が出来ます。1枚編集が終わって変換指示をすれば、すぐに次の写真に移れます。あれこれ考えているうちに変換は終わっているので、私が待たされることはありません。RAW+JPGで撮影しているので、必要なものだけを編集と現像すれば良いですし。

腐ってもi5(失礼)、2017年初めころまでは最新のCeleronと同等性能でした。物理コアx2(HT有効で論理4コア)ですが3.2GHzとそれなりのクロック数であるためか、素人の編集操作なら問題無くこなします。

まとめ

ということから、以下の追加投資でかなり快適になり、ここ数年は使えそう、となりました。

  • メモリ増設(4GB → 8GB):1,674円(中古)
  • OSアップグレード(Windows 7 64bit → Windows 10 64bit):0円
  • USB 3.0カード:1,598円(新品)
  • カードリーダー兼USBハブバージョンアップ(USB2.0 → USB3.0):1,898円(新品)

    合計:5,170円

PC本体は52,500円だったので、合計57,670円。

画像編集や変換は演算処理、画像ファイル操作はファイルI/O処理と全く異なるリソースを使うので、どれを重視するかで強化する箇所も金額も変わってきますね。

肝は「自分の作業の流れのどこを改善すると効果的か?」で、欲しいのは「快適な作業の流れ」です。道具に費用をかけるのなら処理速度よりも綺麗に映すことを優先したい、というところからの見極めです。

優先度は人によるでしょうけど、素材が不味ければ手を尽くして料理しても美味しくはならないですから…。

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